ウクレレ:しくみ、音が出るわけ、弾き方
ウクレレは、弦が4本の小さなギターです。弦はちょっと意外な順番に調弦されているので、楽器全体が明るく、まとまった音で鳴ります。このページでは、ウクレレのつくり、音がどこから来るのか、そして最初のコードの弾き方を見ていきましょう。
このレッスンの内容
ウクレレってどんな楽器?
ウクレレは、弦が4本ある、ギターに似た小さな楽器で、弦をはじいて弾きます。祖先はマシェーテ(machete)という4弦の小さなギターで、ポルトガルから移り住んだ人たちがハワイに持ちこみました。ハワイ語の名前は、よく「ノミ」と訳されます。
よく使われるサイズは4つあります。小さい順に、ソプラノ、コンサート、テナー、バリトンです。いちばんよく見る小さなウクレレは、長さが60 cm未満です。大きなサイズはもっと長く、たとえば Kamaka の現行のバリトンは全長が約77.5 cmです。
数字はメーカーごとに少しずつちがいます。Kamaka の現行モデルを例にすると、ソプラノの弦の振動する部分(弦長)は約34〜35 cm、バリトンは約50 cmです。ソプラノは弦がいちばん短く、フレットの間隔もいちばんせまくなっています。
ソプラノ、コンサート、テナーは G–C–E–A に調弦します。バリトンは D–G–B–E で、ギターのいちばん高い(細い)4本の弦と同じです。このページでは、いちばんよくある組み合わせ、G–C–E–A に調弦したソプラノを中心に説明します。
- 仲間
- 弦楽器(はじく楽器)
- 分類
- ホルンボステル=ザックス分類 321.322:棹のある箱型リュート(ネックが中空の胴についている)
- 標準の調弦
- G4–C4–E4–A4(4弦から1弦)
- 実音の音域
- C4 から約 C♯6(16フレットの Kamaka のソプラノ)
- 音部記号
- ト音記号
- 移調
- 移調しない(実際の音の高さで書く)
- おもなサイズ
- ソプラノ、コンサート、テナー、バリトン
ウクレレの各部
Kamaka は、ソプラノの形を「小さな8の字形のボディ」と呼んでいます。Kamaka の現行モデルでは、表板・裏板・側板がコア(koa)、ネックがマホガニー、指板とブリッジがローズウッドです(上位モデルにはエボニーのものもあります)。
Kamaka のソプラノとコンサートでは、ネックは12フレットのところでボディにつながります。テナーとバリトンでは14フレットです。ある大学の博物館にある1950年代の Kamaka にはナイロン弦が張られています。1843年の書類がついたマシェーテには、ガット弦が張られています。

- 1ヘッド headstock
楽器のいちばん上の部分で、ペグがついています。
- 2ペグ(糸巻き) tuning pegs
回すと弦が張ったりゆるんだりして、音の高さが変わります。
- 3ナット nut
それぞれの弦の、振動する部分の片方の端です。
- 4ネック neck
手で持つところで、指板がついています。
- 5指板とフレット fretboard & frets
フレットのすぐ手前で弦をおさえると、振動する部分が短くなり、音が高くなります。
- 6表板(トップ) top / soundboard
ボディの正面のうすい木の板。弦のふるえを受けとって、空気を押します。
- 7サウンドホール soundhole
ボディの中の空気がここから出たり入ったりして、低い音を助けます。
- 8ブリッジ bridge
弦の端をとめ、弦のふるえを表板に伝えます。
- 9裏板と側板 back & sides
中が空洞のボディを囲みます。昔からの形は8の字です。
- 10弦 strings
はじいたりかき鳴らしたりすると振動する、4本の弦です。
音はどこから来るの?
弦はとても細いので、空気をほとんど押せません。ギターやウクレレのような楽器では、弦そのものはほとんど音を出しません。おはしを振っても、風はほとんど感じませんよね。うちわを振れば、ずっと強い風を感じます。
そこで弦は、ふるえをブリッジから表板に伝えます。表板は大きくてうすい木の面で、内側には補強の力木(ブレーシング)がはってあり、さっきのうちわのように空気を押します。ボディの中の空気もサウンドホールから出たり入ったりします。びんの口に息を吹きかけると「ボー」と鳴るのと少し似ています。この空気は、とくに低い音を助けます。
音の高さは弦で決まります。短い弦、強く張った弦、軽い弦ほど速く振動して、高い音になります。フレットの手前で弦をおさえると、振動できる部分が短くなるので、音が上がります。平均律では、1フレットごとに半音ずつ高くなります。
はじいた弦は、全体で振動すると同時に、半分、3分の1、4分の1にも分かれて振動しています。これが倍音です。そうした振動の形の「動かない点」(節)をちょうどはじくと、その振動は始まりません。弦の長さの3分の1のところではじくと、3番目、6番目、9番目……の倍音がなくなります。高い倍音はいちばん早く消えるので、はじいてから1〜2秒たつと、音はまるくなります。
ボディが大きいほど、ふつうは音が大きく、あたたかく、低音もゆたかになります。ただし、木の種類やつくり方も影響します。Kala は、ソプラノを「より明るくやわらかで、音の遠鳴りは少ない」、バリトンを「いちばん低く、アコースティックギターに近い」と説明しています。
やってみよう:輪ゴムを2本の指にかけてのばし、はじいてみましょう。ほとんど何も聞こえません。次に、ふたをあけた空き箱に輪ゴムをかけて、もう一度はじいてみましょう。箱はウクレレのボディと同じはたらきをして、音がずっと大きくなります。
弾き方
ひじかけのないいすに、浅くすわりましょう。うしろにもたれると弾きにくくなります。ウクレレは体の近くで持ちます。ストラップがないときは、右の前腕でウクレレを胸に押しあてて支えます。ストロークは弾きやすいところならどこでもかまいませんが、いちばんよく鳴るのは、ネックとボディがつながるあたりです。
左手の親指はネックのうしろにそえます。ほかの指はやさしくアーチの形にして、指先でフレットとフレットのあいだをおさえます。この手の爪は短く切り、手首はまっすぐ、力をぬきましょう。指がとなりの弦にさわると、その弦がミュートされて、コードがにごって聞こえます。
構えたときに上から順に、4弦(G)、3弦(C)、2弦(E)、1弦(A)です。まずは親指で下へストロークしてみましょう。親指で上へストロークするのはやりにくいので、上へは右手の指1本で弾きます。最初のレッスンでは、C、F、G7、C7 のコードがよく使われます。
慣れてきたら、ほかの奏法にも挑戦できます。カンパネラ(campanella、イタリア語で「小さな鐘」)では、メロディーの1音1音をちがう弦で弾くので、音が鐘のように重なって響きます。バロックギターも、同じような調弦でこの弾き方をしていました。スプリット・ストロークは、単音とコード全体をまぜて、強いストロークを2拍目からそのあとの「裏」にずらし、ラグタイム風のリズムを作ります。教則本ではトレモロも教えます。
- 4本の弦をまとめてなでるように弾きます。下へは親指、上へは指で。ここでは C のコード(1弦の3フレットをおさえる)を下へ1回ストロークします。お手本の音は、4本の弦の単音を順番に重ねて作っています。
- 弦を別々の指で1本ずつはじくので、1つ1つの音がはっきり聞こえます。ここでは4本の開放弦を、4弦から1弦へ順に弾きます。Kala によると、フレットの間隔が広いテナーは指弾きに向いています。
音域と楽譜
ウクレレの楽譜は聞こえるとおりの高さで書くので、移調楽器ではありません。ふつうはト音記号で書きます。ギターは書かれた音より1オクターブ低く鳴るので、そこがちがいます。バリトン・ウクレレでさえ、実音で書かれることがよくあります。
開放弦は G4、C4、E4、A4 です。いちばん低い開放弦は G ではなく C4(中央のC)です。G 弦は C 弦より高いのです。これをリエントラント・チューニングといい、まちがいではありません。4本の開放弦はすべて1オクターブの中におさまっていて、いっしょにかき鳴らすと C6 のコードになります。
いちばん高い音は、1弦(A4)にフレットの数だけ半音を足した音です。16フレットの Kamaka のソプラノやコンサートなら C♯6、18フレットの Kamaka のテナーなら D♯6 です。フレットの数は楽器によってちがい、12フレットしかない1950年代の Kamaka は A5 までしか出ません。
Low-G 弦を張ると、4弦が1オクターブ下がって G3 になり、楽譜も1オクターブ低く書きます。Kala の Tenor XL は、伝統的に Low-G を使っています。バリトンは D3–G3–B3–E4 に調弦し、19フレットで約 B5 まで出ます。ブリタニカ百科事典には、A4–D4–F♯4–B4 という調弦ものっています。
多くの人は TAB 譜(タブ譜)を読みます。4本の線が4本の弦で、いちばん上が1弦(A)、数字はおさえるフレットの番号です。C のコードは、いちばん上の線に 3、ほかの3本に 0 と書きます。
聞いてみよう
- 4弦、次に3弦。上にある弦のほうが、低いのではなく高く聞こえます。これがリエントラント・チューニングです。
- G4、C4、E4、A4。4つとも1オクターブの中にあるので、ウクレレはまとまった明るい音になります。
- G4、C4、E4、C5 が、4弦から1弦へ数ミリ秒ずつずれて鳴り始め、1つのコードにとけあいます。
- 3弦の中央のC。始めと終わりを聞きくらべてみましょう。明るい高い倍音から先に消えていきます。
- まず響く C のコード、次に弦をおさえたままのストローク。ミュートした弦には音の高さがほとんどなく、短い「カッ」という音だけです。だから、指がほかの弦にさわってはいけないのです。
歴史と仲間
ウクレレは、マデイラ島の4弦の小さなギター、マシェーテ(ブラギーニャ braguinha とも呼ばれます)から生まれました。1840年から1870年のあいだにマデイラで作られたあるマシェーテは、長さ50.5 cmで、表板は松、裏板と側板はオリーブの木、フレットは真ちゅうです。博物館によると、この種類の楽器が1880年代にハワイでウクレレとして取り入れられました。
1879年8月23日、ラヴェンスクラッグ号(Ravenscrag)が、サトウキビ農園で働くためにマデイラから来た423人を乗せてホノルルに着きました。その中に、マヌエル・ヌネス、アウグスト・ディアス、ジョゼ・ド・エスピリト・サントがいました。3人は最初は農園で働き、1889年までに全員がギター職人として記録されています。3人は、ウクレレを最初に作った人たちの一部です。
カラカウア王は、イオラニ宮殿での王室の催しやパーティーにウクレレを取り入れました。王室の後押しで、人々はウクレレをハワイ自身の楽器と見るようになりました。名前の意味は「跳ねるノミ」です。ウクレレを広めるのに力をつくした、小柄で元気なエドワード・パーヴィスのあだ名から来たという説があります。弾く人の指が弦の上を跳ねまわるようすを表している、という説もあります。
1915年にサンフランシスコで開かれたパナマ太平洋万国博覧会で、ウクレレはアメリカ本土に広まりました。Martin はその年に最初のソプラノを、1925年からコンサートを作り、1929年に最初のテナーを作りました。ハワイでは、サミュエル・カマカが1916年にコアのウクレレを作り始め、1928年に楕円形の「パイナップル」ウクレレで特許をとりました。
仲間はたくさんいます。マデイラの5弦のラジャオン(rajão)は D–G–C–E–A に調弦するので、うしろの4本はウクレレの G–C–E–A と同じです。ラジャオンはのちに8弦のタロパッチ(taropatch)になりました。バロックギターもリエントラント・チューニングを使っていました。バンジョー・ウクレレは、木の表板のかわりに、子牛の皮を張った小さなバンジョーのボディを使います。エディンバラにある1本は、1940年ごろにロンドンで作られました。
- 1840–1870マデイラで4弦のマシェーテが作られる(現在は V&A 所蔵)
- 1879ラヴェンスクラッグ号が、ヌネス、ディアス、エスピリト・サントらマデイラの労働者をホノルルへ運ぶ
- 18893人ともホノルルでギター職人として記録される
- 1915サンフランシスコでパナマ太平洋万国博覧会。Martin が最初のソプラノを作る
- 1916サミュエル・カマカが自宅の地下室でコアのウクレレを作り始める
- 1928カマカが楕円形のパイナップル・ウクレレで特許をとる
- 1959Kamaka がホノルルのサウス・ストリートに工場を開く
はじめ方とお手入れ
サイズ選びは一長一短です。ソプラノは弦がいちばん短く、フレットの間隔もいちばんせまいので、Kamaka は最初の1本にぴったりで、手の小さい人に人気のサイズだといいます。大きなサイズほど、音は大きくあたたかくなり、フレットの間隔も広くなります。Kamaka はコンサートを「大きさと音のいちばんよいバランス」と呼び、テナーは同社のアーティストがいちばんよく使うサイズだといっています。
バリトンは、ギターの高いほうの4本の弦と同じ調弦です。ソプラノより完全4度低いので、ソプラノで C になる押さえ方が、バリトンでは G になります。
Kamaka によると、単板(無垢)の木は温度や湿度に敏感です。ゆっくりした変化ならふつうは問題ありませんが、急な変化はさけましょう。
- 弾かないときはハードケースに入れて、ぶつけたり、温度や湿度が急に変わったりしないようにしましょう。
- ヒーターなどの熱が直接あたる場所からはなしましょう。楽器用の加湿器を使うと、湿度をちょうどよく保つのに役立ちます。
- ふだんは、やわらかくて清潔な、かわいた綿の布でふきます。よごれを落とすときは、少しだけしめらせた布を使い、びしょびしょの布は使いません。ラッカー塗装なら楽器用クリーナーを使えますが、ワックス入りのものはさけましょう。
- コードをおさえる手の爪は短く切っておきましょう。弦がずっとおさえやすくなります。
- G 弦が C 弦より高く聞こえても、こわれているわけではありません。それが標準のリエントラント・チューニングです。
- Ukulele | Britannica
- Hawaiian Dictionaries: ʻukulele (Pukui & Elbert; Parker)
- Machete | V&A Explore the Collections
- Machete de braga M55-1982 | Horniman Museum
- Banjo ukulele | MIMEd, University of Edinburgh
- Ukulele | Grinnell College Musical Instrument Collection
- Manuel Nunes | Ukulele Hall of Fame Museum
- David Kalākaua | Ukulele Hall of Fame Museum
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- Soprano HF-1 | Kamaka Hawaii
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- Understanding Uke Body Sizes | Martin Guitar
- Which Ukulele Size Is Right for You? | Kala
- How a guitar works | UNSW Physics
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- Ukulele notation | Ukulele Magazine
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- Daniel Ward Uke Lesson: Standard and Baritone Chord Shapes (Ukulele Magazine)
- How to Tune Your Ukulele, Decoded (Kala)
ピアノの音:Salamander Grand Piano(Alexander Holm、CC BY 3.0)。