メロディー:旋律はどうやってできている?
メロディーは、口ずさむ部分です。音が1つずつ続き、それぞれに高さと長さがあります。いいメロディーは、でたらめではありません。形があり、もどってくる小さなアイデアがあり、息をつく場所があり、坂のてっぺんのように感じる瞬間があります。それぞれのアイデアを聴いて、自分でも4小節のメロディーを書いてみましょう。
このレッスンの内容

メロディーは形のある線
メロディーの音を線で結ぶと、その形が見えてきます。これを「旋律線」といいます。階段をのぼるように上がっていくメロディーもあれば、すべり台のように下がるメロディーもあり、アーチや波のように上がってから下がるものもたくさんあります。
形で気持ちが変わります。のぼり続けて高いところで止まるメロディーは、わくわくして、まだ終わっていないように聞こえます。上がってからまた下りてくるメロディーは、落ち着いていて、まとまって聞こえます。ボールを投げ上げて、またキャッチするようなものです。
- ずっとのぼって高いところで止まり、まだ待っているメロディー。
- てっぺんまでのぼって、家に帰ってくるメロディー。
順次進行と跳躍進行
メロディーが、ドからレのように音階のとなりの音へ進むことを「順次進行」といいます。ドからソのように音をとびこえることを「跳躍進行」といいます。順次進行はなめらかで歌いやすく、跳躍進行は大胆で明るく、耳をひきつけます。
歌いやすいメロディーの多くは、おもに順次進行で、ところどころに跳躍が入ります。ベートーヴェンの交響曲第9番の有名な「歓喜の歌」のテーマは、ほとんど順次進行だけで進みます。1761年に初めて印刷されたフランスの曲「きらきら星」は、歌い出しの「きらきら」で、ドからソへ跳びます。
便利な習慣があります。大きく跳んだあと、多くのメロディーは向きを変え、順次進行で歩いてもどり、跳びこえたすき間をうめます。決まりではなく目安ですが、メロディーのバランスがとれます。
- となりの音へだけ進むメロディー。
- リズムとコードは同じで、どの動きもジャンプ。
- ベートーヴェンのメロディー(1824年):ほとんど順次進行。
- 1761年のフランスの曲:歌い出しで、ドからソへ跳びます。
- 上へ大きく2回跳び、そのたびに順次進行で下りてきます。
モチーフ:もどってくる小さなアイデア
モチーフ(動機)は、ほんの数音の短いアイデアで、また出てきたときに聞き分けられるものです。ベートーヴェンの交響曲第5番の始まりは有名な例です。短・短・短・長で G G G E♭、そして同じ形を1段下げて F F F D。その楽章の多くの部分が、この4つの音から育っていきます。
作曲家はモチーフを何度も使い、毎回少しずつ変えるので、メロディーはなじみがあるのに新しく感じられます。そのままくり返すこともできますし、全体を上や下へずらして別の音から始めることもできます(これを「ゼクエンツ(反復進行)」といいます)。向きをひっくり返して、上がるところを下がるようにすることもできます。5つの音のモチーフが、3つの方法で使われるのを聴いてみましょう。
- モチーフ、もう一度同じモチーフ、そして終わり。
- モチーフを1段上へ、さらにもう1段上へ。階段をのぼるように。
- モチーフのあと、上下をひっくり返して:上がっていたところが下がります。
- 短・短・短・長を2回:G G G E♭、F F F D(1808年)。
フレーズ:音楽が息をするところ
フレーズは、音楽の文です。多くのフレーズは4小節くらいの長さですが、もっと短いことも長いこともあります。どのフレーズも、小さな休みの場所で終わります。長めの音や短い静けさで、歌う人はそこで息をすえます。この休む場所を「終止」といいます。
息つぎの場所がないメロディーは、息もつかずにずっと話し続ける人のように聞こえます。似た音を、息つぎありとなしで聴いてみましょう。
- 短い2つのフレーズ。どちらも長めの音で終わり、息をつきます。
- 似た音が長くひと続きになり、一度も休みません。
問いと答え
フレーズは、質問とその答えのように2つ1組で出てくることがよくあります。最初のフレーズは、まだ開いているように感じるところで止まります。V のコードの上でレかソに止まることが多く、これが半終止、読点「、」です。2つ目のフレーズは同じように始まりますが、I のコードの上でドに止まります。句点「。」です。これが完全終止です。
音楽家は、この組を前楽節と後楽節と呼びます。終止については「和声」のレッスンでもっと聴けます。問いだけ、答えだけ、そして両方続けて聴いてみましょう。
- レで止まる2小節:まだ終わっていないように聞こえます。
- 同じ始まりで、ドに着地:おしまい。
- 問いのあとに答え:まとまって感じる4小節。
いちばん高いところ
いいメロディーの多くには、いちばん高いところ、つまり坂のてっぺんが1つあり、そこへは1回だけ、たいてい真ん中よりあとで着きます。メロディーはそこへ向かってのぼり、着いて、それから歩いて家に帰ります。1回しか着かないので、特別に感じられるのです。
メロディーがどこへも行かなかったり、同じいちばん高い音に何度もふれたりすると、その瞬間がなくなってしまいます。決まりではなく目安ですが、自分のメロディーでためしてみる価値があります。
- 3小節目でたった1つのいちばん高い音までのぼり、家に帰ります。
- 最初から最後まで、同じいくつかの音のなかにとどまるメロディー。
自分の4小節を書こう
まず、C のメジャー・ペンタトニックの5つの音を使いましょう:ド レ ミ ソ ラ(C D E G A)。日本でいう「ヨナ抜き長音階」と同じ音です。どんな順番でもたいていきれいに響くので、まちがえにくいのです(「音階」のレッスンを見てください)。先にかんたんなリズムで手をたたき、たたくたびに音を1つずつあてはめます。
1〜2小節目はレかソで止まる問い、3〜4小節目は同じように始まってドで終わる答えにします。おもに近くの音へ動き、大きなジャンプは1回か2回だけにして、いちばん高い音は3小節目までとっておきます。下は、そのとおりに作った例です。
- ペンタトニックで4小節:問いはレで止まり、答えはドに帰ります。
やってみよう:ピアノかスマートフォンの鍵盤で、C D E G A だけを使います。4小節弾きましょう。1〜2小節目は D で、3〜4小節目は C で終わり、いちばん高い音は3小節目に1回だけ出します。それを歌ってみましょう。これがあなたの最初のメロディーです。
ピアノの音:Salamander Grand Piano(Alexander Holm、CC BY 3.0)。