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世界のいろいろな場所の音楽 · 14 / 15

メキシコの音楽:アステカの太鼓からマリアッチのトランペットまで

メキシコの音楽は、たくさんの道すじから生まれました。アステカ時代の太鼓や笛、スペインから来たギターやバイオリン、そのあとのブラスバンドやアコーディオンです。国のどの地方にもそれぞれの音があり、どの歌からもその混ざりぐあいが聞こえてきます。

2026年10月7日 内容確認

このレッスンの内容

メキシコの音楽はどんな音?

町の広場でパーティーが開かれているところを思いうかべてみましょう。トランペットが高らかに歌い、ギターがはずむリズムをかき鳴らし、みんなが手をたたいておどります。メキシコと聞いて、多くの人が思いうかべるのは、こんな音です。

でも、それだけではありません。ベラクルスでは、ハープや小さなギターにのせて、かわるがわる歌をかけあいます。北部では、アコーディオンがダンスの曲をひきます。アステカの古い土地では、ギターが来るずっと前から、儀式で太鼓が打たれていました。

絵本のようなイラストで、写真ではありません。

ひとつの曲の物語:ラ・バンバ

ラ・バンバは、メキシコの東の海ぞいにあるベラクルスで生まれた、とても古い民謡です。スペイン、先住民、アフリカの音楽がまざったソン・ハローチョ(son jarocho)というスタイルの曲です。

むかしは、結婚式で歌われました。踊る人たちはそろって速いステップをふみ、お客さんはふたりのために新しい歌詞を足すこともできました。ハープ、ハラナ、レキントをひく人たちが、曲をはずませつづけます。

「バンバ」という言葉の意味は、だれにもはっきりわかりません。ゆれることを表す言葉からきたと考える人もいます。1958年には、若いアメリカの歌手リッチー・ヴァレンスが、ロックンロール版を作り、今も多くの人に知られています。

伝統的な楽器

調べたり、聞いたりしてみてほしい楽器をしょうかいします。

ウエウエトル(huehuetl)
上に皮をはった、縦長の木の太鼓。手やバチで打ち、アステカの人びとやとなりの民族が使いました。
テポナストリ(teponaztli)
中をくりぬいた丸太の太鼓で、上にH字形の切れこみがあります。やわらかい先のバチで2枚の木の舌をたたくと、ちがう2つの音が出ます。
土の笛、オカリナ、ほら貝
むかしのメキシコの人びとは、粘土で笛やオカリナをつくり、ほら貝をラッパのように吹いて儀式のはじまりを知らせました。
ハラナ・ハロチャ(jarana jarocha)
ベラクルスの、ギターに似た小さな弦楽器。かき鳴らしてひき、ソン・ハローチョ(son jarocho)でリズムをきざみます。
ワパンゲーラ(huapanguera)
8本の弦をもつ、低くて太い声の大きなギター。ワステカ地方で、バイオリンやハラナといっしょに演奏されます。
ビウエラとギタロン(vihuela / guitarrón)
マリアッチの楽団では、うらが丸いビウエラがリズムをかき鳴らし、大きなギタロンが低いベースの音をひきます。
トランペットとバイオリン
この2つはマリアッチの明るい声で、歌い手がついて歌うメロディーをひきます。
ボタン式アコーディオンとバホ・セクスト
ノルテーニョの音楽では、小さなアコーディオンがメロディーをひき、12弦の大きなギターであるバホ・セクストがリズムとベースをうけもちます。

聴きかた

メキシコの音楽にはたくさんのスタイルがあるので、拍がどう動くかを聴いてみましょう。ゆれる曲、はずむ曲、楽しいさけび声のために止まる曲もあります。1曲えらんで、楽器が何をしているか気をつけてみてください。

さけび声を聴こう
ランチェーラでは、歌い手や聴いている人が、歌のまとまりのあいだに大きな声をあげることがよくあります。これをグリト(grito)といいます。
3と6のまざりを聴こう
マリアッチのソンのスタイルの曲は、3つ数えと6つ数えのあいだをゆれ動くので、拍がゆりかごのように感じられます。
はずみを聴こう
北部のノルテーニョには、ポルカのようなはずみがよくあります。アコーディオンがメロディ、バホ・セクストが拍をうけもちます。

Sowlea のメトロノームをふつうの速さにして、クリックごとに手をたたきましょう。まず「1-2-3、1-2-3」と数えるとゆれる感じに、「1-2、1-2」と数えるとはずむ感じになります。そのあと、ランチェーラとノルテーニョの曲を1曲ずつ聴いて、どちらの数えかたに近いか当ててみましょう。

メキシコの音楽の歴史の大きな場面

  1. 1325年(伝承による年)
    テノチティトランのはじまり

    伝承によると、アステカの都は1325年に湖の中の島に築かれ、そこではウエウエトルやテポナストリのような太鼓が打たれていました。

  2. 1521年
    古いものと新しいものの出会い

    スペイン人がテノチティトランを攻めおとしたあと、ギターやバイオリンなどスペインの楽器が土地の楽器とまじりあい、新しい音楽がうまれはじめました。

  3. 1700年代
    ソン・ハローチョのかたちができる

    ベラクルスで、スペイン、アフリカ、土地の音楽が長い時間をかけて混ざりあい、いきいきとした歌とおどりのスタイルになりました。

  4. 1800年代
    ブラスバンドがやってくる

    世紀なかばから、ピストン式の金管楽器がメキシコにとどき、町の楽隊が演奏をはじめました。シナロア州では、これがチューバとタンボラ太鼓をそなえたバンダに育ちました。

  5. 1900年代のはじめ
    ランチェーラとコリード

    愛、ふるさと、田舎を歌うランチェーラが、メキシコ革命のころに人気になり、コリードは物語を歌にして語りました。

  6. 1930年代
    マリアッチにトランペットが加わる

    1930年代ごろ、マリアッチがステージやラジオの出し物になると、トランペットが有名になり、楽団の明るい声のひとつになりました。

  7. 1936〜1956年
    映画の黄金時代

    メキシコではたくさんの映画がつくられ、ホルヘ・ネグレテやペドロ・インファンテのような歌う映画スターが、メキシコの歌を広めるのを助けました。

  8. 2011年
    マリアッチに栄誉

    ユネスコが、マリアッチを世界の無形文化遺産のリストに加えました。

調べてみよう、この名前

これは例であって、ランキングではありません。おとなの人に手伝ってもらって、さがして聞いてみましょう。

  • カルロス・チャベス
  • ペドロ・インファンテ
  • ホセ・アルフレド・ヒメネス
  • ビセンテ・フェルナンデス
  • チャベーラ・バルガス
  • フアン・ガブリエル
  • ロス・ティグレス・デル・ノルテ
  • カフェ・タクーバ
  • ナタリア・ラフォルカデ
  • リラ・ダウンズ

そのころ、世界では

メキシコの音楽が育つあいだに、ほかの場所ではこんなことが起きていました。

  1. 1539年
    アメリカ大陸で最初の印刷機

    メキシコシティに印刷機が置かれました。スペイン人が来てから数年後のことで、印刷された本がそこから広まりはじめました。

  2. 1685年
    バッハが生まれる

    ドイツで作曲家のヨハン・ゼバスティアン・バッハが生まれました。彼の音楽は、いまもあちこちで演奏されています。

  3. 1810年
    教会の鐘がなる

    9月16日、ミゲル・イダルゴという司祭がドローレスの町で教会の鐘を鳴らし、独立をよびかけました。メキシコではいまもこの日をお祝いします。

  4. 1829年
    アコーディオンが特許になる

    ウィーンで、シリル・デミアンがアコーディオンという楽器の特許をとりました。のちに、メキシコ北部などで人気の楽器になりました。

  5. 1879年
    ダンソンがキューバで生まれる

    ゆっくりとした優雅なおどりであるダンソンがキューバでかたちづくられ、その年にミゲル・ファイルデの『シンプソンの高み(Las alturas de Simpson)』が演奏されました。のちにメキシコ、とくにベラクルスとメキシコシティで愛されるようになりました。

  6. 1936年
    ボストンで鳴ったメキシコの交響曲

    カルロス・チャベスが、メキシコの先住民の旋律をもとにした自作の『インディアン交響曲(Sinfonía india)』を、ボストン交響楽団で指揮しました。

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ピアノの音:Salamander Grand Piano(Alexander Holm、CC BY 3.0)。